ある地域1
先日、
>首都圏の中学受験率は過去最高見通し というニュース記事を見ました。
予想ですから外れることもありますが、実際、そんなに根拠のない話でもないのだろうと思います。
首都圏、関西圏を始めとして、一部の地域では中学受験の熱は冷めていないようです。
熱が冷めるとか何とかいう以前に「当たり前」になってきているということですね。
また、同じく都市部では、高校受験の倍率も下がっていない地域もあるようです。
その背景には、そもそも生徒数が減少していないということがあります。
減少しないどころか、生徒数が多くなり、新しい学校を作るという地域すらあります。
つまり、こういった地域では、平成時代とそんなに変わらない状況下で受験が存在するということです。
従って、塾側もそれなりに繁盛するでしょうし、塾経営の戦略も、今までをなぞっても、 そこそこ大丈夫だという面はあるはずです。
ある地域2
一方・・・
地方では、今までの10年で生徒数10%減ならまだ良い方で、20%減という地域もあります。
それに伴い、高校受験の倍率も低下することが多く、1.2倍ならまだ「受験が存在している」 と言えますが、ほとんどの高校で、1倍未満になっているという地域でもあります。
高校受験の実質的な消滅です。
当然、そういった地域では、中学受験は無いに等しい。
「同じ日本ではない」と思わざるを得ません。
いわゆる地域格差というものでしょうか。
・新築マンションが増えて学校が足りなくなるほど生徒数が多い地域。
・今後10年ぐらいは生徒が減らない見込みの地域。
・減っても数%程度で収まる地域。
・今後10年で10%減が見込まれる地域。
・今後10年で20%以上減少し、自治体の存続すら危うい地域。
同じ日本とは思えない。
大切なのはこの点です。
地域によって状況が全然違うのだから、日本全国、一律に考えることは できなくなるだろうということです。
塾の経営も同じです。
上記のそれぞれの地域が、同じ戦略で良いわけがないと。
つまり、地域の状況に応じた、経営戦略が必要になってくるということです。
成功した理由
今までも、私は次のように考えていました。
「ある地域で経営を行っている塾が、ある戦略で成功した」
成功できたのは、なぜか?
私の回答としては、「その地域で、その塾がやったから」です。
同じことを違う塾がやっても、成功しにくいのは
・地域が違う
・地域でのその塾に対する評価、知名度が違う
・塾長の能力が違う
からだと思います。
ですので、「これをやって成功した」という部分だけ切り取ってもダメということです。
そもそも、その前提が随分違うわけです。
ある塾の成功論は、ノウハウのストックの一つとして持っておく分には 全く差し支えないのですが、自分の地域で適用できるかどうかは、また別問題です。
上記で説明した通り、同じ日本だからという背景理由は通じなくなるはずです。
地域によって状況は全然異なります。 だから、同じ成功論が通用するわけがないと。
地域による経営戦略
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◆塾の近くに、1学年300人いる中学校が2校あり、高校受験はいずれも2倍ぐらい。
私立中学を受験する子も10%程度いる。
生徒数は今後10年横ばい状態が続く見込みである。
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◆塾の近くの中学校は1学年100人を切り、高校受験ではトップ校だけ1.1倍で他は1倍未満。
通える私立中学は存在しない。
生徒数は今後10年で20%減少する見込みである。
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この2つの地域の塾の戦略が同じだと思えますか?ということです。
成功論が、自塾に合っているか否かという以前に、自地域にあっているか否か という判断が重要かと思います。
今までの10年間、国全体としては、中学生の生徒数が10%減りました。
10%減ぐらいなら大丈夫かな?という予想もありましたが、実際問題、 10%減でも潰れてしまう塾は数え切れないほど出てきました。
今後、もっと激しい勢いで生徒数は減ります。
高校受験が実質的に消滅する地域が増えてきます。
つまり、深い考えがなく経営をしていると潰れる可能性は高くなり、 また、高校受験に向けての塾のニーズも低下する可能性が高い、ということです。
生き残りは、過去の延長戦上にはないかもしれないのです。
戦略変更の加速化
2025年は、そういったことに気付いて戦略の変更、新しい戦略の実行ができるか否か の分かれ目になる塾も多いのではないかと感じます。
少子化は加速します。
格差拡大も加速化します。
であるなら、それに伴う戦略の変更も加速化するような年になると確信しています。
戦略の失敗を補う
今回は、戦略のお話をしました。戦術ではありません。
戦術が重要でないというわけではありません。
が、上記で説明した通り、時代が変わってきて地域の状況も変わってきたわけですので、戦略の変更などがより重要になります。
そして、何よりも
「戦略の失敗は戦術では補えない」と思うからです。
「時代」と「地域」と「塾のポジショニング」が合っていないのに、いくら宣伝したとしても、生徒は集まらないでしょう、ということですね。